ル・ポールのドラァグ・レースの推しについて

musizuwalk.hatenablog.com

前回の記事で書いたように、RPDRには個性豊かなコンテスタントがたくさん登場する。
その中でも、自分の推しはこんな人たちです、という回。ネタバレあり。

 

 

  • Alexis Mateo(S3)

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プエルトリコ出身で、出場当時30歳。Netflixの字幕読みは「アレクシス・マテオ」で、大きなウィッグとグラマラスなボディが特徴。
明るく情熱的なプエルトリカンキャラを演じることが多く、コメディーやコマーシャル・チャレンジに強かった印象。一方で、ファッショニスタRajaや芸達者なManilaに比べてファッションの出来にはムラがあり、何度かBOTTOM2になっていた。特にミシェルに酷評されがち。
明るくパワフルな印象だけど、マイナスな批評を受けたときの、ちょっと泣きそうな顔がかわいい。マジで。

決め台詞は「BAMG!」。

シーズン3ではコマーシャルチャレンジが2度あり、どちらも高い評価を受けていたけど、特によかったのがEP9の"Life, Liberty & Persuit of Style".
「米軍隊員に向けて、愛国心を伝えるビデオメッセージをつくる」というのがこのチャレンジのテーマ。日本ではやらないと思うので、お国柄だな~。大統領選挙と合わせてスピーチチャレンジもやる。
アレクシスは以前、米軍隊員と付き合っていたけど喧嘩別れをしてしまい、彼は徴集されてそれっきり……と語る。複雑そうな顔をしながらも、CMでは明るく踊って「パパ、早く帰ってきて!」と訴える。コンテスタントの背景がドラマを与えている回で、S1のオンジャイナと同じくらいよかったエピソード。

S10に出てくるVanessa Vanjie Mateoはドラァグ・ドーターで、AS5で「私にもドラァグ・ドーターができたの!」と喜ぶ姿がかわいかった。AS5では身も心もすっかりたくましいマテオ・ママになっていて、時の移り変わりを感じた。

 

  • Ben De La Creme(S6)

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シアトル出身、出場当時31歳。日本語字幕は「ベン・デ・ラ・クリーム」だったり「ベン・デ・ラ・クレム」だったりする。S5の同じくシアトル出身、Jinks Monsoonにも見られるオールドスタイルなドラァグ。昔のコメディエンヌみたいな懐かしいスタイルは、シアトルクイーンの特徴なんだろうか。
登場シーンからハイテンションな演技で、「彼女は活発で楽観的、末期の躁病患者だと思えばいいわ」と語るデラ。舞台での陽気さとは裏腹に、ワークルームやインタビューは割と落ち着いている。そして舞台裏で、うつ病の闘病経験があることを明かす。ドラァグに出会うに至った経緯を聞くと、躁病的な「ベン・デ・ラ・クリーム」は鬱の対局としてのペルソナを感じる。
そういったバックグラウンドもあってか、S6では視聴者からの人気がかなり高いクイーンだったらしい。優しく懐かしい雰囲気もあり、「好感を持てる」というのは才能なんだな。

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今は前述のJinkxと一緒に冠番組をやっている。活躍しているようで本当によかった。

 

  • Sasha Velour(S9)
 
 
 
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ブルックリン出身、出場当時29歳。日本語字幕は「サシャ・ベロア」。RPDRに参加しているクイーンはもちろん誰もが唯一無二なんだけど、サシャはそれまでにない圧倒的なオリジナリティを持つクイーンだった。
最初から際立って目立つタイプではなかったが、どのチャレンジでも順調に駒を進める柔軟さがあり、そのインテリジェンス&ユニークネスに目が離せなくなってくる。
母親をガンでなくしており、「自分がスキンヘッドでドラァグをするのは髪を失った母に敬意を持っているから」と語っていたのがとても印象に残った。

そして……Shea Couleeとのドラァグ百合は最高。

 
 
 
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Sheaとの絡みに限らず、S9はコンテスタントがワークルームで心を開いて語り合う場面が多く、一番好きなシーズン。みんな仲良し♪というのはまた違うんだけど、精神的に成熟したクイーンが多く、オークランド銃乱射事件後という背景もあり、観ていてしみじみしたシーズンだった。
普通にネタバレなんだけど、S9のTOP4によるラップ&ダンスパフォーマンス、 'Category Is...' は本当によくて、いつまでも観ていられる。

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 この動画だけでも伝わると思うんだけど、S9のTOP4はまったく異なるキャラクターが集まっていて、かなり熱い。ドラァグ・レースとオタクの相性がいいのは当然じゃないか?という気がしてくる。

 

  • Bianca Del Rio & Adore Delano(S6)
 
 
 
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この2人は、それぞれが推し!というより、やりとりに萌えざるを得ない。カップリングオタクすぎか? どちらも人気のクイーンで、それぞれよくSNSなどで推しクイーンとして名前が挙がっている印象。

 
 
 
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Adoreは出場当時23歳。日本語字幕は「アドレ・デラノ」。でも音で聞くとアドーアって呼んでる気もする。
未熟な面もあるけど、それも含めて憎めない愛されキャラ。感情表現が素直で、ファッションが失敗していても目で追ってしまうオーラがある。「スター性」ってことかね。
奔放なギャルって感じで、「いぇーい」みたいな感じで "Party!" って言うのがかわいい。推せる~というオタクの気持ちを駆り立てるクイーン。

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対するBiancaは出場当時37歳のベテラン。日本語字幕は「ビアンカ・デル・リオ」。毒舌キャラだがShadyな感じがなく、コメディーセンスがずば抜けている。裁縫も得意で、どんなチャレンジも器用にこなす。とにかく常に安定感があり、なれるもんならこうなりたい、と思わせる。

意地悪女を演じていた(?)ビアンカだが、「シルエットにくびれほしい」と批評されたアドレにコルセットを貸す一面があったり。
アドレはそんなビアンカを「彼女、ホントは優しいの。抱き着こうとすると『あっち行け!』って言われるけど、実は喜んでるのよ」と評していた。萌えか?

 
 
 
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ビアンカビアンカで何だかんだアドレをかわいがってる節があり、SNSではS6終了後も仲良くしている様子が見られる。

 
 
 
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S6でも「ビアンカはすごい。私も57歳になったらあんな感じになりたい(笑)」と言っていたアドレ。インスタでも「84歳の誕生日おめでとう」みたいなこと言ってて笑ってしまう。

 

  • Max(S7)
 
 
 
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自分のRPDRでの一番の推し。ウィスコンシン出身、出場当時なんと22歳。日本語字幕は「マックス」。「往年のハリウッド女優が目標」と語るとおり、クラシカルなスタイルを好むクイーンで、灰色のヘアスタイルとつけぼくろが特徴。
S7では、ファッションセンスもよく、プレッシャーに負けて泣き出すメンバーを慰めたり、ルーと険悪なムードになったペア相手を支えたりしながら、おおむね高い評価で着実に駒を進めていた。そう、悪夢のようなスナッチ・ゲームまでは……。

最近、視聴していて気になったコンテスタントのSNSアカウントをフォローしているのだけど、職業柄(?)なのか、セルフ・プロデュースがうまいクイーンが多い。みんなインスタにはばっちり決まった宣材写真やセルフィーをアップし、ツイッターでは気の利いたツイートをする。
しかしマックスはインスタ・ツイッターともに、なんだか使い方があまり上手くない。インスタはほとんど更新されないし、ツイートも頻度が少ない(いいねはしている)。
彼女のツイートを遡っていて見つけたのが下のツイート。

RPDRもリアリティー番組である以上、人を見世物にしていることに変わりなく、その人の人生を悪いように変えてしまうこともある……と当たり前のことを思ってしまった。番組では「番組に出演して人生が変わったわ!」というコンテスタントは出てきても、逆を取り上げることはないもんな……。

レースに出場した結果か、もともとそういうタイプかは分からないが、彼女のナイーブそうなツイートを見ていると胸が締め付けられる。この「よく知りもしない他人の気持ちを類推して、ああだこうだ言う」ことこそがオタクのオタクたる所以だなあと思うし、勝手に胸締め付けられていろという話だが……。

いつかマックスのドラァグを生で見ること、それが今後の人生のささやかな目標になった。自分の周りの友人もそうだけど、自分は結局「生きづらさを抱えていそう」に気持ちを動かされてしまうんだな……と思った次第。