シュラスコ・獣肉・呪いの子(2月の日記)

月次締め作業……やるか。2月は28日しかないのもあって、この間1月の締め作業やったばかりだよね?と思った。今月は旧正月の関係もあってか、仕事がかなり閑散期だった。そういえば昨年もこの時期は暇だったなと思う。この職場に来てもう1年経つとは。そんなわけで2月は全体的に暇だったけど、終盤はやっぱり忙しくなって、ここ2日は馬車馬のように……というか馬車馬も死ぬくらい働いた。
気候もここ数日でぐっと暖かくなって、春が近づいてきたなと感じる。今年の冬は以前より過酷に感じなかった。暖かく過ごすための工夫を惜しまなかったからだろうか。でもやっぱりもっと暖かくなってほしいよ〜。

 

読んだ本

村上春樹『村上朝日堂』

エッセイ読みたい!という気持ちになってブックオフで買った(毎月最後の金曜はブックオフで好きなだけ本を買っていいことにしている)。しかし30年以上も前の、特別に好きというわけでもない作家のエッセイを読む意味はあるのだろうか。毛虫壺(いわゆる蠱毒)の話や「切手をなくさない場所は耳の穴」(!)など、共感や納得よりも「この人はいったい何を言っているんだ?」みたいなエッセイが多かった。シュニッツェル食べたい。

レイ・ブラッドベリ華氏451度』

読もう読もうと思っていままだ読んでいなかった。SFは文章が淡々としているイメージだったので、筆致がかなり詩情に溢れてて驚いた。本当に詩的だ。あまり細部まで読み込めた実感がなく、「これどういうこと?」と思ったまま読み流してしまった部分もあった。批判や風刺をもとにした作品だなと思ったけど、ハッとするような部分も多々あった。

「かならず、という保証を求めてはいかん。ひとつのもの、ひとりの人間、ひとつの機械、ひとつの図書館に救われることを期待してはならんのだ。ささやかでも、救いに向けて自分のできることをしなさい。そうすれば、たとえ溺れようとも、少なくとも岸に向かっていると自覚して死んでいける」
(p.144)

自分にとって人生とは、足がつく場所を目指してもがき続けてるようなもんで、さっさと溺れて沈んでしまったほうが楽なのかもしれない、と常々思っている。だからここは何というか、自分にとって指針にも慰めにもなるメッセージに感じた。岸に向かっていると思いながら死ねるように頑張るか〜。

アンディ・ウィアー『火星の人』

「オデッセイ」が公開されたとき映画館で観たが、あれはもう何年前だろう? 映画もそうだったが、原作小説もまたユーモアのセンスが豊かで、起こっている問題は大変なのに小気味よく軽快な印象を受ける。SFのSF部分には、正直「そうなんだ〜」という感想しか稚内のだが、主人公、キャプテンたちチーム、NASAの面々、中国側、いろいろな立場の人間が知恵を尽くして生きようと(生かして救おうと)するのがいい。
やっぱりラストがいい。人間讃歌だ
。

「だが、ほんとうのところは、人間はだれでも互いに助け合うのが基本であり、本能だからだと思う。そうは思えないときがあるかもしれないが、それが真実なのだ」
「ハイカーが山で遭難したら、捜索隊が組織される。列車事故が起きたら、献血する人の行列ができる。地震で都市が崩壊したら、世界中の人々が緊急救援物資を送る。これは深く人間性に根ざしたものだから、どの文化圏でも例外なくおなじことが起きる。たしかになにがあろうと気にもかけない大ばか野郎もいるが、そんなやつより、ちゃんと気にかける人間のほうが圧倒的に多い。だからこそ、何十億もの人がぼくの味方をしてくれたのだ。
めっちゃクールだろ?」(p.302)

ウクライナの侵攻も1年が経ってしまったし、今月はトルコ地震もあった。自分は割と自分のことで手一杯の人間なのだが、「なにがあろうと気にもかけない大ばか野郎」じゃないほうの人間になりたい……と思った。

アガサ・クリスティそして誰もいなくなった

これも初読。格式高くてとっつきづらい本格ミステリーのイメージだったが、かなり読みやすいし中高生くらいのときに読んで楽しむものだったかもしれない。だってこんなの……見立て殺人でクローズドサークルで……もう金田一少年じゃん!(こっちが雛形なんですよ)
ところで金田一だったら犯人あてクイズができるところだけど、これは……どうなんですか?

読んだ漫画

『付き合ってあげてもいいかな』10巻

『付きかな』、LOVEの感情やそこから生まれるもろもろ(他人への嫉妬とか)だけでなく、人間関係のもっと俗っぽいところ……妥協、見栄(世間体)、甘えや八つ当たり、関係性の終わりや継続……とかが描かれているのがマジでいい。しかもその質感が「俗なところを暴いてやったぞ、どうだ」という感じでなく、ちゃんと胸をくすぐる恋愛漫画になっているのが、女性同士の恋愛ものという枠を超えて唯一無二だ。
10巻も人間関係とかやりとりの手触りがすごかった。あとこれは毎回言ってるんだけど、カバー下の2人は何? 自分はみわと冴子は別れてるからこそいいんだよ派なので、後々よりを戻すのか単なるファンサービスなのか分からないが、毎度新鮮に何?と思います。

月に吠えらんねえ』1巻

フォロワーさんが好きな作品と言っていて気になったので。1巻だと正直あまりピンと来ていない。何だろう?作者の方の主人公の描き方が……何というかBL的というか……性的な眼差しを感じるからだろうか……。あと「時代のそれ」「作者の考えでなくキャラクターのそれ」というのは分かるんだけど、女性の扱いがかなり抵抗あります。
とか言ってたらお会いしたときにフォロワーさんが単行本を貸してくれたから、全体的な評価は続きを読んでからかな……。

観た舞台

ハリー・ポッターと呪いの子』

TBS赤坂ACTシアターにて。昨年観た『キンキー・ブーツ』が鮮烈な体験だったので、他の気になってた舞台も観たい!と思い、気になるけどいろいろあって観ていなかった作品だが、思い切って申し込んだ。
そもそも『呪いの子』、ストーリーというか伝えんとするメッセージがかなり好きなんだよな。父になったハリーがうまくいかないところ、ハリーにとってはホグワーツが救いであったけど、アルバスにとってはそうでないところ、そしてドラコもそうであったことが分かるところとか。「親になるのが難しいのではなく、大人になることが難しいのだ。人はみなその苦しさを忘れている」とか。ハリーポッターの続編でありながらアンチテーゼでもあるというか。

ハリー、このごたごたした感情的な世界には、完全な答えなどありはせぬ。完璧さというのは、人間には届かぬところにあり、魔法でも届かぬところにある。どんな輝かしい幸福な瞬間にも、あの一滴の毒があるーー痛みが再びやってくることがわかっているという毒が。

演出面。魔法シーンを再現するためにほとんど手品みたいなシーンも多々あり、金かかってるんだろうな〜と思った。ディゴリー邸やディメンターなど、ぞっとさせるシーンを演出するのがめちゃくちゃうまくて、子供騙しになっていないのが本当によかった。でも一番印象に残ったのは人力組み分け帽子(魔法シーンの再現が多々あるのに、組み分け帽子は人が片手にパペットのように帽子を持ってパクパクやる)かな……。人が消えたりものが勝手に動くシーンはたくさんあるのに、そこは人間なんだ……と思った。

そのほか作品として。脚本は自分のペースで読めるから長くても全然気にならないが、おもしろさでも中和できないほどなげ〜と思った。休憩を挟んでも4時間超だからな……。キンキーブーツのときは時間が一瞬だったのに、何でだろう。ミュージカルか否か、あらすじを知っているか否かも関係するのかもしれないが。あまり味が変わる部分がなく、作品全体がシリアスだからかな。

しかしハリーポッターフランチャイズ、自分はどうしても「どうロリ(どうしてだよローリングの略)」になってしまい、手放しに楽しめない。ホグワーツ・レガシーも気になっているけど、無邪気にたのし〜!とプレイできるかと言ったらそうではない。原作小説、今でも文章をありありと思い出せるほど本当に好きだったけど、もう自分が心から楽しめるコンテンツではないのだろう。

プレイしたゲーム

ニューダンガンロンパV3

先月に引き続き、ダンガンロンパシリーズ。面白かった! メタフィクションものは結構好きなので、自分は割と好きだ。抵抗があるのも分からんのではないが、まああの世界の「真実」(および「ダンガンロンパ」シリーズがリアルフィクションという言い分)、黒幕が勝手に言ってることだから信用するもしないも好きに解釈できる……というのがにくいよな。主人公たちが前を向いて終わるので、プレイした後には爽快感を感じるところもいい。
これでダンガンロンパシリーズを全てやったわけだけど、う〜ん、個人的には2が一番好きかな。ファニーさと悪趣味さ、ダークさと明るさ、シリアスさとギャグ、バランスがいい。これは全部の作品通して言えることだけど、伝えようとするメッセージがすごく真っ当でまっすぐなので、悪趣味コンテンツ部分がきちんと中和される出来になっていて、いいなと思った。

そのほかのこと

・4日

赤坂に『呪いの子』を観に行く。横浜に住むようになってから、都内に出るのはちょっとしたイベントのように感じる。何なら鎌倉や逗子のほうが距離的にも時間的にも近い。
昼を食べ損ねたので、幕間に赤坂シアターのドーナツと得体の知れぬオシャレな飲み物を買う。見終わってから、近くのお店でお香を買って、山王日枝神社を参拝して帰った。

・11日

A氏の家で遊ぶ。最初はバレンタインの催事を見に行こうという話をしていたのだが、A氏が脚を怪我して1ヶ月自宅生活になったので。1ヶ月家から出られないのは長い。彼女が最近ハマっているという有隣堂のチャンネルを観た。


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一番面白かったのはこれ。こんな熱意とこだわりを持って仕事をする人たちがいて、それを子供たちが手にするの……すごくないか? 実物を有隣堂本店で手にしたのだが、めちゃくちゃ分厚くてこんなに手間がかかっていて2,500円は安すぎるだろと思った。

・12日

横浜ユーラシア文化館へ行く。「青が誘うウズベキスタン 萩野矢慶記写真展」が気になって見にいったのだけど、同じく展示されていた「ユーラシアへのまなざし」も観てきた。地域ごとに展示が分かれていて、面白かったけど「いつになった自分はこういうものへの知見を得られるんだ……」と思った。「勉強しなきゃいけない」という気持ちのまま無為に日々が過ぎていく。

 

確かメソポタミアの粘土板文書

「向かいあって座る2人の男性が、ストローを使って壺からビールを飲んでいます」とのことです。

・18日

友人夫婦とシュラスコに行く。シュラスコ実績解禁。今年やりたいことビンゴを順調に埋めている。いい感じだぞ。シュラスコはほとんどアトラクションで、楽しくておいしかった。シュラスコだから……ということで初めてカイピリーニャを飲んだのだが、思った以上に甘ったるくて、異国の酒という感じがあってそれもよかった。

長い付き合いの友人とは9ヶ月、その配偶者である友人とはもう2年近く会っていなかった。一時期は(自分としては)本当にベッタリというくらい遊んでもらっていたのだが、自分の思いやりのなさが原因で距離ができてしまった。もう疎遠になるしかないのかな〜と思いながらも自分はそれが本当に寂しかったので、久しぶりに会えて楽しく過ごせて、それだけで「このまま時が止まればいい……」とすら思った。でもこういうところが、自分が人付き合いのバランスを崩す一因(仲よくなった人に寄りかかりすぎる)だと分かっている。他人といい距離感で楽しく過ごせるようになったのなら、それ以上望むべきものはないし、もうそれは本当にありがたいことだ。

友人たちが神奈川を離れてしまうので、横浜をぶらぶらしようという話になった。シーバスに乗ったり、ワールドポーターズでガチャガチャを見たり、コスモクロックに乗ってコスモワールドをぶらついたりして、とても楽しかった。また友人たちと楽しく過ごしたいな。

コスモクロックから見た風景

 

・19日

通話の流れで、フォロワーさんに自分の薄い本探しに付き合っていただくことになり、100年ぶり(オタク特有の誇張表現)に池袋に行った。

ミルキーウェイのパフェ

学生の頃練馬に住んでいて、実家を出て初めての職場が西武池袋線沿線だったので、オタクだということを除いても池袋は心のふるさとだ。ミルキーウェイでパフェと軽食を食べる。ミルキーウェイっていいなあ……。何年ぶりだろう?
池袋で中古同人ショップをうろつき、フォロワーさんと昔好きだったジャンルや見ていたコンテンツ、カップリングの傾向などを話して、それがえらく楽しかった。中古のグッズショップに行くのも久しぶりで、昔の自分は気合いの入ったオタクだったなあと思った。今もオタクだが。
フォロワーさんがFGOからマヤ・アステカ文明に興味を持たれていて、その本を探しにジュンク堂池袋本店に行った。大きい本屋、背表紙を見ているだけでワクワクが止まらなくて楽しすぎる。こんなにおもしろそうな本があって、何で自分は家で「何も読まずにダラダラ」して過ごしているんだろう……。本屋で興味のある本を予算内で買いまくる遊びもしたいなあ。

夜は……何かアトラクションがしたい!獣肉とか食べたい!とリクエストして、米とサーカスに行った。

もみじとぼたんの鍋

いろいろ食べたのだけど、「おいし〜」「酒がうま〜い」という感想しか稚内で笑ってしまう。覚えている限りでは、スズメバチの子甘露煮、鯨のベーコン、燻製盛り合わせ(雉、猪タン、鰐タン)、猪肉と鹿肉の鍋。妄言を言っていた記憶しかないのだが、充実した楽しい1日だった。

・25日

A氏と家でねるねるねるねと知育菓子をつくる。自分も不器用さには自信があったが、A氏がそれを上回る不器用さで笑ってしまった。

左がしのはら作、右がA氏作

クラシエのサイトで知育菓子の難易度が見られるのだが、今回作った「たのしいホイップケーキ屋さん」は星5中の星4だった。これで星4?嘘でしょ?と言いながらクリームを絞った。
数ある商品の中で唯一の星5は何なのか……ぜひその目で確かめてほしい。

・26日

5ヶ月ぶりに献血に行く。体重が50kgあったので(昨年は割っていたのだが最近ずっと50kg横ばいだ)、全血献血400mlを予約した。献血中や休憩中は何ともなく、野毛や伊勢佐木町をぶらついて帰ったのだが、帰りの電車内で急激に気分が悪くなり、これはまずいと思った駅のホームでぶっ倒れていた。体調も悪くなかったのに、こんなことは初めてで驚いた。その節は大変ご迷惑をおかけしました。駅員さんを呼んでくれた方、介抱してくれた駅員さん、本当にありがとうございました。

2月はこんな感じ。3月もやりたいことリストにあることをして、WEBイベントに出て、イベントが終わったらそろそろ勉強も始めて、仕事を頑張って、体調に気をつけて過ごすこと。