熱海・落語・女子プロレス(3月の日記)

やろうやろうと思いながら時間が経ってしまった。月次締め作業…やるぞ!
3月は新年度に向けた業務の引き継ぎがあったり、年度末だったりで仕事がまあ忙しかった。自分はキャパシティが小さくて小心者なので、ちょっとイレギュラーなことがあるとすぐ余裕をなくしてしまう。転職して一年でようやく仕事をものにした気がするのに、このタイミングでまったく新しいことが始まるのが精神的にやや厳しかった。相当切羽詰まった顔をしていたらしく、職場の人に優しい声をかけてもらえたのがありがたかった。4月も忙しくて、月次締めをするのにこんなにかかってしまったわけだが……。

観た映画

『THE FIRST SLAMDUNK』(2022)

今年の目標(というほどのものではないが)の一つに、「話題になっている作品を気軽に観に行く」というのがあったので、それの一環として。スラムダンクは「安西先生、バスケがしたいです」「諦めたらそこで試合終了ですよ」しか知らないにわか状態だったのだが……、めちゃくちゃよかった……。すごくよかった。映像と音楽のよさは人生で観た映画の中でも五指に入るかもしれない。これ一本で一つの作品というよりは「スラムダンクという漫画作品の一部を映画化」という前提条件の上で観客も臨んでいると思うが、事前知識がなくてもクオリティーは十分に味わえた。
まず、演出というか音と映像。選手の目線での息苦しくなるようなカットがあれば、観客席以上にガッと引いた空撮のようなカットもあり、スポーツ観戦では観られないような映像をドラマチックだけどリアルに観せてもらっている……と感じた。ボールの弾む音や息の音、バスケシューズが体育館の床に擦れる音などの「音」の見せ方(聴かせ方?)、OP(まず映像がめっちゃいい)、EDの選曲の的確さ、スローモーションと激しい動きの緩急がハッキリした映像、すべての見せ場が明確で、う〜〜〜ん、本当によすぎる……。
そしてストーリー(ドラマ)部分。ミリしらにも関わらず、リョータを巡る物語は結構マジで泣いてしまった。それはいかにもフラグだろという始まりから、家族の崩壊と再生、そこにあるバスケットボールというスポーツ……。この映画、一本のバスケの試合とそこで動く選手が歩んできた人生の両輪で話が進むのだが、どっちも互いを邪魔しないのがすごいな〜と思う。自分はスポーツそのものの面白さより、人間のドラマ性を感じたい側なので、その点でもよかったな〜。まあリョータ以外のキャラについては「なんかそういうことなんだろうな」くらいで観ていたが。安西先生は指導者として桜木を止めなきゃマジでダメだろ、と思うと同時に、「だけど『今』なんだ」というもの分からないでもない、むしろそこに美しさを感じてしまう……というのが、まあ何というか、言葉にすると最悪だな……。
スラムダンクを今後読むとして、気になるキャラクターは三井さんかな。目まぐるしいキャラ変がすごい。あと後半バテバテなのが(何で1人こんなに疲れているのか知らんが)セクシーだな、と思っていたらかなり人気のあるキャラらしい。そ、そうなんですか?
もう1回観たいし、インターネット配信が始まったら何度も観たいと思う作品だった。それまでには漫画を履修しておきたい……ところだが……。

読んだ本

P・ハイスミス太陽がいっぱい

「タイトルがキャッチーなので全然関係ないものにタイトルが流用される作品」というジャンル(そんなジャンルはない)の箱に入れていた作品。ハイスミスは「不安の詩人」とか呼ばれているらしいが、他人に対する嫌悪感、人間関係の疲れ、親しい人間を侮る感情、距離を置きたいと感じる気持ち(どう言い表したらいいんだ……)を描くのがとても上手いなと思った。人間に対する負の感情の中でも、そこにスポットライトを当てると翻って自分の見たくないところも照射してしまう(から意識するのを避けている)部分、そういうものを鮮やかに描く作家だと思う。エンディングは、ピカレスクものとしてはハッピーエンドにも見えるが、今後の破滅を予感させるような気もして、悪くない終わり方だなと思った。リプリー・シリーズがこの後何作も展開されているらしいことは見ないことにする。
ところで有名なアラン・ドロン主演の映画のほうは観ていないのだが、今から観ても楽しめるものなんだろうか。

読んだ漫画

星来『ガチ恋粘着獣』10巻

刊行スピードがすごく早くないか? WEBの無料公開を何となく追っている作品なので展開は知っているんだけど、こう単行本としてまとめられると、ギンガがあまりにもかわいそうだな……。「俺は……さんの味方ですよ」のミツクリ、この漫画史上でもトップクラスに気持ち悪かった。表現力がすごい。
しかし小夜に対して「あの時会えてたらよかったね」というギンガ、なんでそんな……なんでそんなこと言うんですか? もしあのとき会えていたら……どうだって言うんだ? 会ったからと言ってやっぱり彼女にはしてもらえないと思うのだが、あのとき会って小夜から応援していることを伝えていれば、そしてギンガが「ずっと応援してくれる古参のファン」の声を受け取っていれば……ギンガがあんな病み配信をすることもなく、小夜が暴走して実家凸をすることもなく、配信者とリスナーとしてお互いにベストな関係性でいつづけられたのでは? こんな形で、取り返しがつかないほど台無しになってしまうこともなく? と思うと、何でそんなことを……という悲しい気持ちになり、かなりよかった(よかったんだ)。

西UKO『となりのロボット』

百合漫画が読みたい!と思って購入。「アンドロイドと少女の百合」という情報から、「やっぱりそこはアンドロイドが少女と関わりを持って、人間の感情をします」みたいな話なんだろうか……みたいなありきたりな予測からしっかり離れた新鮮さと、人間とは何か・人が関わるとはどういうことか、テーマを通して描く誠実さで物語を作り上げている。斬新ではないけど新鮮、という経験があるんだなと驚いた。「少女の形のアンドロイド」であることにも明確に理由があり、作者の方の価値観に確かな信頼感を感じる。読後感も爽やか。これはよかった。かなり良作。

須藤佑実『夢の端々』上・下

百合漫画が読みたい!!と思って購入。不穏さを感じさせる出だしとラストはだいぶ好きだったけど、「なぜこの2人が精神的に強く結びついたのか」、そのきっかけである女学生の頃の馴れ初めがいまいちピンとこなくて、翻って全体的にぼんやりとした印象だった。時間を遡っていく構成も含めて、映画でありそう。

そのほかのこと

・4日(土)

何も予定がなかったので、鎌倉に行った。

辺古山さん 海です

今の家の立地、鎌倉・逗子方面へのアクセスがよいところが大きな長所だと思う。湘南クッキーの自販機大好き。
特に用があったわけではないので、鎌倉駅周辺をぶらついて帰った。

・5日(日)

A氏と『THE FIRST SLAMDUNK』を観に行く。お昼はハマの老舗に行きたい!ということで、野毛のセンターグリルへ。

center-grill.com

昭和21年創業。横浜は都会的な新しい店だけでなく、歴史を感じる名店も数多くあるところがめっちゃいい。

センターグリル外観

特製浜ランチ

「特製浜ランチ」と「浜ランチ」の違いはオムライス(白ご飯)かチキンライスのオムライスか、の違いだった。味もおいしかったが、自分はそもそも何を食べてもおいしい舌の持ち主なので、店の雰囲気とか歴史を感じると嬉しくなってしまう。

映画の感想は前述の通りです。映画を観たあとはコレットマーレで夜ご飯(代わりのパフェ)を食べたのだけど、ザ・夜景の見えるレストラン!って感じの席に通されて面白かった。

映えのパフェ

・11日(土)

友達の誕生祝いに(かこつけて)熱海に行った。彼女が青春18きっぷを自分の分も使ってくれて、お祝いのはずがちゃっかり交通費を持ってもらってしまった。
お昼に寿司を食べて、サンビーチで海を見ながら駄弁って、熱海銀座商店街でスナックの昼営業のカフェ(?)に入って、また砂浜に戻って暗くなるまで駄弁った。

海と人々

熱海の(に限らないかもしれないけど)海、人も多くないし場所代も取られないし、ただのんびり喋るのに適していて最高。お店の人に悪いから早く出なきゃ……とか思わずに済むし。友達と熱海に行くのはこれが4回目?で、だいたいご飯を食べて海を見ながら話して終わるんだけど、また行きたいな〜と思う。たぶん最初に行ったときが本当に楽しくて、それから何度行っても色褪せず、友達との思い出が熱海という場所に紐づいている。今回も楽しい1日だった。

・17日(金)

慣れない仕事でヨレヨレのヘロヘロになっていたら、帰り際に隣の席の嘱託の先輩(おじいさん)が手紙をくれた。以前先輩が落語を好きだと言っていたので、今度立川談笑の独演会に行くんですよ〜という話をしたところ、それが嬉しかったそうだ。「あまり弱音を吐かない感じで偉いなと思っていましたが、最近は仕事の入れ替えでなかなか落ち着けないようで大変だなと思います」という書き出しから、心の中で応援している、落語のおすすめはこれ、自分が好きな演目はこれ、独演会を楽しんでください、また機会があったら紹介します……という内容だった。
こんなことは初めてなので驚いたし、いつもテンパりながら仕事をしていても、その姿を見てくれている人がいるんだな……それも好意的に……と思って、かなり感動した。最近心の中で怒ったり泣いたりしながら仕事をこなしていたので、どんなことでも腐らずに頑張らないとな……と思った。

今週はかなり仕事を頑張ったので、夜は外食する。職場近辺のインドカレー屋を開拓しているので、日本大通りのデリーダイニングに行く。インドカレー屋はだいたいちょっとアングラ感があるというか、雰囲気が出てるお店が多い印象(そこが好き)なのだが、ここは小綺麗なレストランという感じだった。お会計の際に、マダムに折り紙で折った指輪を渡されて「小指にはめてみて」と言われ、何だろう?と思ってはめたら「あらかわいい」と言われて和んだ。嬉しくなって小指に折り紙の指輪をはめたまま帰路に着いた。
仕事的には忙しない一週間だったけど、手紙と指輪でいい気持ちで週末を迎えられた。

・25日(土)

野毛のにぎわい座に立川談笑の独演会に行く。落語の実績を解除した。生の落語を聞くのは高校生の頃の芸術鑑賞会?以来だ。

にぎわい座と立川談笑

にぎわい座では毎週寄席もやっているようだが、ぐんぴぃ(バキバキ童貞)さんがnoteで「寄席は下手な人から上手い人まで玉石混交だから、落語に行ってみたいなら気になる噺家の独演会に行った方がいい」というようなことを書いていたので、それに倣った。落語については有名どころの演目をちょっと知っているのと、『あかね噺』2巻分くらいの知識しかなかった。しかしさすがというべきか、場や時勢を読んだまくらから面白く、演目も引き込まれて楽しめて、かなりよかった。『浜野矩随』が特によかったので、後からネットで調べたのだけど、かなりストレートに感動的な話に改変されていて、一般的なあらすじより独演会で聞いたものの方が好みだと思った。

演目

あとはやっぱり場の空気というか、周りのお客さんがワッと笑うのを体感できるのがいいな。独演会の後にApple Musicで落語を聞いていて、当たり前のことだが「その場に行って感じる」ことも楽しみのひとつなんだろう。ライブやスポーツ観戦もきっとそうだと思うが、周りの人間と同化して盛り上がるハレの場込みの娯楽……というか。ところで、まくらでWBCや政治風刺だけでなく、ChatGPTの話まで出てきて、進んでるな〜と思った。社会の流行や話題をどんどん取り入れていかなきゃならない仕事、自分には絶対に無理だ。

帰りは大岡川の桜を見て帰った。大岡川、近辺の治安がやや悪いところも含めて、桜に風情がある。

大岡川と桜

・26日(日)

A氏と女子プロレス(スターダム)を観に行く。昼ごはんは、店構えが前から気になっていた、関内のスペイン料理店カサ・デ・フジモリに行った。www.casa-de-fujimori.co.jp

外観もいいけど内装もよかった。しっぽりディナーしたり、ワインを楽しんだりするのに向いている店だ。味ももちろんおいしかったけど、自分の味覚はまあ何を食べてもうまいので……。俺たちは雰囲気でメシを食っている。

カサ・デ・フジモリのパエリア

お昼の後、横浜武道館へ行く。横浜武道館に行くのも初めてだったのだが、かなりちょうどいい具合の会場だったのではないかと思う。規模が小さくてショボいということもなく、大きくて遠すぎて見えないということもなく、3階スタンドでも十分に楽しめた。

オープニング

女子プロレス、初めて観たんだけど……かなりおもしろかった。アイドルと不良漫画を足して2で割ったような感じだった。そこを足して割ることが可能なのか……という感想。
「シンデレラトーナメント」という、スターダムの選手がこぞって出場する大規模イベントの一回戦。一回戦ってどんな感じのテンションなんだろう?やはり回を進めないと選手入場ショーなどはやらないんだろうか?と思っていたが、そんなことはなかった。オープニングから気合が入っていて、戦隊モノとかプリキュアオールスターズ的な雰囲気があって、オタク的にアガる。むしろ一回戦というところで、多くの選手の入場ショー〜10分の中の短い試合が見られて、推し目当てというよりにわかファンや一見向きかもしれないと思った。

スターダムはYouTubeで予習した程度だったのだが……よかったのは飯田沙耶選手。

145cmと小柄なのにこのマッスルで、「ナイスバルク〜!」とか声をかけられていた。曲もいいし衣装もいい。一人称「アッシ」なのもよく分からなくて、いい。
他には同じスタンド席から熱いオタクの声援が飛んでいた舞華選手、入場のときに持っていた一輪の薔薇🌹を客席の女児に手渡していた詩美選手が強く印象に残った。薔薇って。女子校の王子様感があって、かなりいい。自分が手渡された子供だったら絶対に好きになっちゃうだろう。

夜は伊勢佐木のRAMAIでカレーを食べた。前に先輩に連れてきてもらったときに、ラッシーがめちゃくちゃおいしかったのでA氏にも飲んでもらいたかった。いやもちろんカレーもおいしいのだが、自分史上一番うまいラッシーを出す店がここです。
A氏もめっちゃうまい!1Lパックとかで持って帰りたい!と言ってくれて、楽しい1日の締めにふさわしいな……と思った。

RAMAIのカレー

3月はこんな感じ。いろいろしたようなそうでもないような。とりあえず大きな事故や病気もなく過ごせてよかった。プロレスと落語についてはおいおいまた記事にしたい。

4月はすでに目が回るほど仕事が大変で、家に帰ってから何をする気力も残らない日々が続いているのだけど、少しずつ慣れてやっていくしかない。記事にしたい漫画の感想や最近観た動画の話などが溜まっているので、なるべくコンスタントにブログを書きたい。まあ4月もほどほどにやっていこう。